これもインド人の空間認識能力の高さ?商品陳列が美しすぎる件
日本人の美意識では、余白が尊ばれ、何もない部分も大切にされる。
それは日常生活の中にも息づいていて、我々は知らず知らずのうちに間をとっている。
しかしここインドでは真逆のようで
隙間という隙間はとにかく埋める。
これでもかこれでもかと攻めるのだ。
宗教画はド派手な色遣いで細部まで綿密に描かれ、アジャンター遺跡等を見ても全方位隙間なく彫られている。
路上では、3車線であろうと7台くらいの車(牛やら色々なもの含む)がぎゅうぎゅうにひしめき合い、
行列に並ぶときも、前の人との間隔はぴったりと詰められ、隙間は1センチも作らない。
もし並んでいるときに横入りされたとすれば、それはきっとインド人にとって隙間があったからだと思う。
そんな隙間埋め尽くシストのインド人たちは、商店やスーパーの陳列棚においてもその実力をいかんなく発揮している。
もともと店にはスタッフの数が多いのだが、彼らは皆、棚に商品を詰めることに夢中である。
私がある商品を棚から取ると、すかさずそこに新たな商品が補充され、やっぱりやめーたと、商品を戻そうとしても棚の隙間は見つからない、なんてこともある。
美しすぎる陳列に痺れる… これはもうアートだ
恐らく在庫はバックヤードなどには置かず、全部売り場に出してあるんだろうと思うほど、高くまで積む。積む!
そして、あまりに積みすぎると
くずれる…
弘法も筆の誤り…
でもこの空間を埋める能力、IQが高そうだなと思ってしまう。
抽象的な思考力が高いということは、独創的なアイデアやフレキシブルな意思決定も生まれやすいはずだ。
こんなところにもインド人のすごさを見た気がする。
MitraとMitri ペッパー君かと思ったら人(ロボ)違いだった件
私はゆるいロボットに弱い。
2000年代前半にHondaが開発したアシモが動いている姿を見て、なぜだか異様に心の琴線に触れ涙が出そうになった。
ムラタセイサク君とムラタセイコちゃんやロボホンあたりも健気な感じがたまらない。
そんなだから、ペッパーが出てきた時もすっかり虜になってしまった。
当初ペッパーは大人気で、彼の周りにはいつも人だかりができ、私はモテモテ男子を遠くから見つめるさえない女子状態、近づくのも気が引けるほどだった。
しかし、1,2年も経つとペッパーの物珍しさは消え、人気もすっかり下火になった。街角で見かけるペッパーもがっくりと肩を落としていることが多くなり、何とも切ない思いで見ていた。
もちろん今でもペッパーがいれば、私はできるだけ話しかけるようにしている。
しかしインドに来てそんな機会もなくなったのだが、先日映画館に行った時のこと。
ふとロビーの片隅に、パネルに隠れるようにして佇むロボットの姿が目に入った。
あのシルエット!まさかペッパー!!??
近寄って、顔を覗き込むと…
誰ですかぁぁぁ!?
ペッパーに似てはいるのだが、何とも可愛げがない。
というか、むしろ怖い…
胸元にはパネルが付いているし、どうやら会話もできるようだが、電源は抜かれ、パネルの裏側へと追いやられていた。
映画を見終わったあとも彼のことが頭から離れず帰って調べてみると、どうやら彼の名前はMitra(ミトラ)というらしい。
バンガロールのInvento Roboticsという会社が開発したインド国産ロボットで、2017年にはあのイヴァンカ トランプさんとモディ首相にも挨拶をしているではないか!
彼にも輝かしい過去があったのだなぁ…
ちなみにこちらのHPを見てみるとMitraの女の子版 Mitri(ミトリ)というのもいて、優し気でとてもかわいらしい。
近頃はやたらとリアルな人間の姿をしたロボットも見かけるが、やっぱりこのゆるさが良い!!
よし、これからはこの子たちを応援しよう。
ペッパー先輩は、10月にイギリスの議会で人間以外で初めて発言したというし、まだまだ頑張っている。
ITに強いインドのMitraもまた表舞台で活躍できる日がくることは間違いない。
これからどんな活躍を見せてくれるか楽しみだ。
タージ・マハル観光とあわせて立ち寄りたい!マトゥラーのガートでバラナシ気分
タージ・マハルのあるアグラから北に50km、グルガオン・デリー方面に戻る途中に、気軽にバラナシ気分を味わえる場所がある。
Mathuraマトゥラーというこの街は、ヒンズー教7大聖地のひとつで、街中を流れるヤムナー川にはガートと呼ばれる沐浴場があり、朝には沐浴、夜には光を灯して祈る人々を見ることができる。
湖のように大きく、流れも穏やかなヤムナー川。ガンジス川最大の支流で、デリーやアグラを流れ、アラハバードでガンジス川と合流する。
カラフルなボートに乗ってのんびり観光することもできる。
川へと続く参道には、お祈り用具を扱う店や飲食店、ヒンズー寺院などがひしめき合う。
そして狭い道に人や車、牛や猿といった動物たちも当たり前のように行き交う。
地元の人々は、牛より私たちの方がよっぽど珍しいようで、遠慮なくガン見してくる。
そんな姿もプチ・バラナシと呼ばれる所以だろう。
今回インドに遊びに来た義理父たちは、日程の都合上どうしてもバラナシを訪れることができなかった。
しかし、アグラからの帰りに立ち寄ったこのマトゥラーで、時間が止まったような昔ながらのインドを体験することができ、たいそう満足してくれた様子であった。
都市部では減ってしまった素焼きカップのチャイ屋さんも健在。
マトゥラーは、クリシュナ神を祀る数々のヒンズー寺院や、マトゥラー発祥の仏教美術が見られる考古学博物館など、他にもみどころが多いようなので、次回はもう少しじっくり見学したいと思っている。
バラナシ程ごちゃ混ぜ感はないが、程よくディープな穴場スポット。
タージ・マハル観光とあわせて、ぜひ訪れてみてはいかがだろうか。
やっぱりタージ・マハルが好き
義理父夫婦がインドにやってきたので、挨拶代わりに4人でアグラを訪れた。
メインはもちろんタージ・マハル。
タージ・マハルはインドを代表する観光名所で、ムガル帝国の皇帝シャージャハーンが王妃ムムターズマハルを追悼するために建てた廟である。
白大理石で作られた均整のとれたドームやミナレット、数種類の大理石を用いて彩られた壁面など、その美しさはムガル帝国建築の最高峰と呼ばれている。
何度もインドを訪れたことのある父だが、タージ・マハルに関してはなんと50年ぶりだとか。
今回は、日の出を狙った。
6時に車でホテルを出発し、10分程度で東側の駐車場に到着。
そこから無料の電動シャトルで東門の付近へと向かう。
チケット売り場は門のすぐ手前右手にあるが、チケット売り場と明記されておらず、BOOKING COUNTERとなっているので注意。
外国人用チケットは1300ルピー(約2,000円)だった。(2018年12月時点)
チケットと共にペットボトルの水と靴カバーが渡される。
日の出時刻の30分前(この日は6時半)に開門。
男女分かれて、チケット確認と、持ち物検査が行われる。
IDの提示が求められることもあるので、パスポートは必携だ。
ガイドブックにも書いてあるが、カメラの三脚や飲食物は持ち込みができないので、できるだけ身軽で行くことをお勧めする。
また、早朝はかなり寒いので防寒をお忘れなく。
まだ暗い中を進むと、暗闇にぼんやりと浮かび上がるタージ・マハルに心が躍る。
辺りが明るくなってきても、この時期の早朝は霧で真っ白。
なかなか全体が見えてこないが、その姿はあまりにも幻想的で美しく人間が作ったとは思えない程。
ここが地上であることを忘れ、雲の中にいるような感覚を覚える。
敷地内にあるタージ博物館から。木々の間から見える姿が新鮮。
この日はとにかくすごい霧で、普段写真やTVで目にするのとは全く異なる姿を見せてくれた。
来るたびに違う表情を見せてくれるところもタージの魅力。
ちなみに、今回私たちが泊まった宿からの眺めも大変良かった。
The Gateway Hotel Fatehabad ゲートウェイホテル・ファテハバード
タージビューの部屋が売りではあるが、部屋からはそれ程美しく見えなかったので、タージビュー側にこだわらなくても良いかもしれない。
屋上テラスからがベスト。
何度見てもタージ・マハルはやっぱり好きだ。
これから人生で何度お目にかかれるだろう。
インド映画パッドマン まもなく日本で公開です!
明後日 12月7日(金)から、日本で
パッドマン 5億人の女性を救った男
が公開になるそうで、この映画のことを少しご紹介したい。
まず、タイトルのパッドとは生理用ナプキンのこと。
インドの片田舎で、ある男が妻に清潔なナプキン使ってもらいたいと、周囲に変人扱いされながらも安価に作れるナプキン製造機を開発するというお話で、実話をもとに描かれている。
私としては、後味さわやかで、見て良かった!と思える作品だった。
まずヒロインの2人がとっても魅力的。
ガヤトリ(左)はパッドマンの妻。田舎で生まれ育ち宗教や古くからのしきたりに従順に従う。
一方ビジネスパートナーのパリー(左)は都会的で、先進的な考えの持ち主。
対照的でありながらどちらの気持ちにも共感できてしまう。
主人公のパッドマンことラクシュミについては、正直、やりすぎじゃない?と思うところもある。
最初は妻への愛が行動を起こさせたが、もう途中から妻の気持ちは全く無視で、一心不乱にナプキンの研究を続けていくのは理解し難くもあった。
しかし彼にとっては妻のためという範疇を超えて、全ての女性のためだったのだろう。
結局偉人となる人は、自分の家族という小さな枠だけでは収まりきらないため、家族にとっては大変な思いをさせれることが多いのかなと思った。
それでも、彼の誠実な人柄に応援せずにはいられない。
国連でのスピーチはもちろん、パリーと空港で別れるシーンは彼の人柄がよく出ており、不器用な姿が何とも良かった。
古くからヒンズー教の教えでは、生理は不浄なものとされており、人前で口にするのも恥ずかしいことであった。
都市部ではかなり考え方は変わってきたものの、いまだ生理への正しい理解は進んでいるとは言えず、また経済的な状況もありナプキンの利用率は3割程度だそう。
この映画は、そんな国民に正しい知識を広める役割も担っている。
写真は全てオフィシャルサイトより拝借
インドの伝統的な儀式の様子、色とりどりの衣装や、河辺のガート(沐浴場)等、映像も美しい。
さらに、このラクシュミを演じるアクシャイ クマール氏はインドでは超人気俳優で、一見華奢に見えて物凄い筋肉の持ち主。一瞬映るガートでのトレーニングシーンなどは筋肉好きも必見だ(笑)
オフィシャルサイトのコラムを見ると、背景がわかってより楽しめると思うので、鑑賞前に見ておくことをお勧めしたい。
スキンヘッドのそのわけは
先週、主人の会社の同僚のインド人が、突然スキンヘッドにしてきた。
インドでは身内に不幸があると、髪の毛を一部残してあとはそり落とす習慣があるようで、心配しながら恐る恐る理由を尋ねると
最近抜け毛が激しくて…
この方が育毛剤が毛穴に直に入るでしょ?
この発想は斬新だった。
日本人だったら、少しでも目立たせないよう
髪は長めにキープしておく気がするのだが…
この逆転の発想というか、思考の柔軟さがインドだと思った。
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ケララ・バックウォーターツアーでGod's Own Countryの真髄を見た! 後編
昨日に続き、ケララのバックウォーターツアーの様子をご紹介したい。
今回選んだspice coast cruiseの良い点は、他の船が入らないような狭い水路にも行ってくれること。
狭い水路の方が、よりジャングルクルーズ気分が味わえる。
途中天候が変わり、雨や落雷もあったが、ボートは屋根付きで、雨漏りもしないので安心だ。
ボートにはベッドルームや屋根付きのラウンジもあり、キャンピングカーの船バージョンといったところ。
デッキではお茶を飲んだり本を読んだり、まさに至福の一言。
ベッドルームは広くはないがエアコン付きで、夜には蚊帳もおろしてくれる。トイレ・シャワー完備で、なんとお湯も出る!
食事は昼夜朝の3回。それに、ティータイムの軽食。
お茶やコーヒーもよく出してくれた。
私も主人もお酒は飲まないのだが、お酒好きの人は自分で買って持ち込むそうだ。
心地よい風を受けながら飲むビールは、本当に最高!らしい
船の上で調理されたとは思えない程、美味しい南インド料理が楽しめる。
狭いキッチンではコックさんが腕を振るう。
夕暮れ前に、船着き場に停泊。
この日は曇っていたが、雲の下から地平線に沈む夕陽を拝むことができた。
空気の悪いデリー地区では考えられないとても貴重な光景!
(デリーの夕日については過去記事参照)
さて、日が沈むとディナータイムだが、同時に蚊との戦いが始まる。
食事をするラウンジにも一応蚊よけのネットは降ろしてくれるのだが、船の構造上、蚊は入りたい放題。蚊よけスプレーをかけまくる。
船上ではとくにやることもなく、この大自然の中でスマホを見る気も失せるので、早めに就寝。
日によっては星空がキレイなのだと思うが、この日は曇りのため断念。
翌朝、6時に起床して日の出に備える。
残念ながらひきつづき曇りのため、日の出は見られず。
しかし、東の空が徐々に白んでいき、雲がピンク色に染まっていく様子は息をのむほど美しかった。
西の空には輝く月。
鳥の鳴き声や水音が時折聞こえるだけの静寂に包まれた世界。
ケララはGod's own coutry 神の恵みの豊かな国と呼ばれるが、この景色を見て、その言葉の意味を深く理解することができた。
8時半に再び出航すると、地元の漁師たちが貝を採っている最中だった。
本当になごり惜しいが、クルーズも終わりに近づく。
これから5か月程は観光シーズンが続くため、彼らは毎日働くそうだ。
9時過ぎには船着き場に戻って終了となる。
約21時間のクルーズは、本当にあっという間で、まだまだ乗っていたいと思った。
今までケララではフォートコーチン、ビーチリゾート、アーユルヴェーダ施設などを巡ったが、何が1番良かったかと聞かれたら、私は断然バックウォーターツアーだと答える。
絶対に後悔しないと思うので、南インドに訪れた際はぜひとも、この楽園を体験してみてもらいたい。
Spice Coast Cruise
https://www.cghearth.com/Spice-Coast-Cruises