自由すぎる者たち 犬編
インドでは人間はもとより、色々なものが本当に自由に暮らしている。
まずは犬から。
インドでは至るところに野良犬がいて、人間から迫害されることもなく、のびのびと自由に暮らしているように見える。
道端はもちろん、屋外型ショッピングモールやお店の前でも無防備に寝ている犬を毎度目にする。
車に乗ろうとしたら、下で休んでいたことも。
近寄るとゆっくりと体を起こし、軽快に去っていった。
周囲の人たちは、何事もないかのように通り過ぎていくし、犬たちも人が近くを通ったからといっていちいち反応しない。
人間と犬がつかず離れず、丁度良い距離でお互いを尊重しあっているかのように過ごしているのがインドの素晴らしいところだと思う。
犬好きにとってはパラダイスかもしれないが、いくらかわいくても触ってはいけない。狂犬病の恐れがあるからだ。
私は、一度家の近くの空き地を徒歩で抜けようとしたことがある。その際、どこにこんなに隠れていたのとかというほど大量の犬が、こちら目掛けて尻尾を振りながら走ってきた。
恐らく子犬から老犬まで20匹はいたであろう、私を取り囲んでいる。縄張りを侵されたというよりは、遊んでほしいとか、何か餌をもらえるかもといった好意的な目を向けてくれていたのが救いだ。ここで餌をあげている人がいるのかもしれない。
かなりの恐怖であったが、なんとか振り払い、元の大通りに出ると犬は追いかけてこなくなった。やはり、外を歩くときはいろいろ注意が必要だと感じた…
さて、こんな犬だらけの状況でもペットの犬というものは存在する。
私のマンションでもゴールデンレトリバーやシェパードを散歩させているメイドさんたちをよく見かける。ただ、チワワとかトイプードルといった日本で人気の小型犬はほぼ見ない。こんなの外に連れ出したら一発で他の犬の餌食になりそう…
また夜中になると犬たちの鳴き声+遠吠えが尋常じゃない。
それはもう物凄い迫力で、あの昼間の闘争心ゼロと同じ犬とは思えない、共食い、入れ食い、なんでもありのような激しさに、一体下界(私の部屋からみて地上のこと)では何が起こっているんだろうと怖くなる程だ。
うーむ、この迫力の遠吠え、どこかで聞いたことがある…
あ、これだ!
下界では、銀とその仲間たちが宿敵赤カブトと戦っているのではないだろうか…