インドで靴を修理に出してみた
私の主人は思い入れのある靴を履き続けている。
キアヌ・リーブスが親友のリヴァー・フェニックスにもらった靴を履き続けていたようなものだ。(かっこつけて書くと)
しかし、本体と甲の縫い目の部分が裂けてきて、さすがにこれは何とかしなくてはと修理に出すことにした。
インド人に教えてもらったローカルマーケットに行ってみる。
食品から雑貨、携帯電話まで色々な店が入っており、確かにここなら靴の修理屋もありそうだと歩き回るがどこにも見当たらない。
その辺の人に聞くとあっちだと言われ、そっちの方向に行くと更にあっちだと言われ、とうとうマーケットの外れまで来てしまった。
そしてそこでもあっちだと言われ、言われた方向を見てみると路上にポツンとテントらしきものが建っている。
こ、これか…
かばん&靴の修理屋らしい。
掘っ立て小屋風の造りに初めは戸惑いを覚えたが、見た目とは裏腹に職人は良い仕事をしてくれた。
靴を見せると10分でできるという。
裂けた縫い目を器用に縫っていく。
そして慣れた手つきで靴を磨く。
たった10分で、干からびた靴が見事に蘇った!
Before→After
しかも料金はたったの80ルピー(125円)。
申し訳なくなるくらいだ。
心ばかりのチップを上乗せして渡した。
彼の店はけっこう繁盛しているようで、靴を直している間にもひっきりなしにお客さんがやってきた。
スーツケースのハンドルが壊れたものから、日本では考えられないようなボロッボロのリュックサックなんかも持ち込まれる。
こんなの直せるの?と思いながら見ていると、おじさんは何が来ても任せとけ!と涼しい顔で答えていた。
外は40度越え。時折風が吹いてもドライヤーのような温風だ。
そんな中、熱波にも負けず、砂ぼこりにも負けず、ただ黙々と仕事をこなす職人の彼に感動した。
この人はきっと先祖代々からこの修理の仕事をしてきたのだろう。(私の妄想ではあるが、インドではカーストで決まった職業に就くことが多い)
そしてこれからもずっと、身体がだめになるまでこの仕事を続けるのだろう。
彼は何も語らないが、手や表情、座り姿が彼の人生を物語っているようだった。
名もないインドの職人、好きだなぁ。