インドのトイレ博物館に行ってみた
こんなことを言うと変態と思われるかもしれないが、私は便器が好きだ。
というのは、便器は陶器として非常に美しいと思うのだ。
柔らかな曲線美のフォルムに、光沢があり滑らかな表面、そして色むらのない純白もしくは単色のカラー。
どんなに頑張ってもトレイはトイレなのに、一切の妥協なく美しく仕上げられているところに気高さを感じる…
そんな私がトリップアドバイザーを見て気になっていたのが
Sulabh International Museum of Toilets
スラブ国際トイレ博物館
ただ私が好きなのはあくまで陶器としての便器であり、トイレが好きとかトイレの歴史に興味があるとかではない。
ましてやインドのトイレ博物館なんて、世界一汚いトイレと称される伝説のライブハウスCBGBも真っ青な汚トイレが展示されているのではないか…と恐怖を感じつつも、怖いもの見たさで行ってみることにした。
中に入ってみると、広い敷地にトイレの見本がずらりと並んでいる。
ガイドをしてくれた館内スタッフの説明によると、これらはインドで「トイレの聖人」と呼ばれるビンデシュワル・パタク氏が考案した、下水設備がなくても使える簡易バイオトイレの見本だという。
このように1つのトイレに排泄物を溜める穴が2つ。
はじめは片方の穴だけを使い、2,3年で満杯になったら、今度は反対の穴を使う。こちらが満杯になる頃には、反対側の排泄物は乾燥し、ばい菌や臭いもなくなり、安全なたい肥として使用することができるようになるという。
↑乾燥した排泄物。たしかに全く臭くない。
このパタク氏は、1970年にNGO「スラブ・インターナショナル・ソーシャル・サービス」を設立し、自宅にトイレがない貧困層にも地元の材料でできるだけ安く簡単に作れるトイレを普及させてきた。その活動は世界でも認められており、昨年は日経アジア賞も受賞している。
他にも、排泄物から出るバイオガスで電気を起こしたり、巨大なろ過装置も見ることができる。
きれいになった水は植物の水やりや再びトイレに使ったりするのだそう。
トイレの歴史がわかる展示室もある。
「日本のトイレ」としてウォシュレットが展示されていたが、相当古いし他国の製品っぽかったのが少々残念…
しかし全体としては良い意味で期待を裏切ってくれた。無料だしスタッフも親切。
何よりインドの社会問題に果敢に取り組むNGOの活動を知ることができた。
そして館内は清潔なのでご心配なく。