一緒に写真を撮ってとせがまれる
インド人は写真が大好きである。見ているこちらが恥ずかしくなるようキメ顔、キメポーズで何枚もセルフィーを撮っている。
そしてこれも『インド人あるある』らしいのだが、観光名所に行くと、なぜか「一緒に写真撮って!」と声を掛けられる。
別に写真を撮っている間に鞄から何かを盗もうとか、そういう犯罪の話ではない。ミッキーがいたから一緒に写真を撮りたいとか、私ジャッキー・チェンと写真撮っちゃったー!とかそんな純粋な好奇心による行為のようである。そんなにアジア人が珍しいのだろうか。もともと顔が濃いうえ現地人化してきている主人には声がかからないから、この薄っぺらい、いかにもアジア人という顔が良いのかもしれない。
先日もジャイプールに行った際、何人かから写真をせがまれた。スターを見るようなまなざしで言ってくれるのだから、こちらもまぁ、まんざらではない。
その時も、アラサーのインド人女性が一緒に写真を撮ろうと言ってきたので、芸能人気取りで応じたところだった。
撮った写真を嬉しそうに確認していた彼女。
すると、どこからか男の子がじゃれるように突進してきた。
その衝撃で彼女が手に持っていたiphoneが宙を舞う。
ガッシャーン!石畳の上に勢いよく落下。
「・・・・・・・」
一瞬の出来事で、その場にいた全員が凍り付く。
と、次の瞬間、彼女はアタックしてきた子供にパーンと平手打ち!
それを見た子供の母親が「うちの子に何すんのよーー!!」と激怒。
彼女も「ちょっと、どうしてくれんのよ!画面が割れちゃったじゃないのーー!!」とブチギレ。
「わーーん!!」泣き出す子供…
これはヒンズー語で繰り広げられているので、詳細はわからないが、間違いなくこの翻訳であっていると思う…
そのうち人だかりもでき、取り残された私は、逃げるようにそっとその場を離れた…
そもそもその子供がなぜ突進してきたのか、もともと知り合いなのか何がなんだかわからない。
こ、怖いわー。
それから写真を頼まれても周りが安全な状況かどうか警戒するようになった。
今もあのアラサー女性は私の写真を見るたび、あの怒りのシーンを思い出すんだろうか…私のせいではないけれど、心が痛む。