ヒンドゥーの奇祭クンブメーラ2019 に行ってみた!けど…①
世界最大級の宗教行事クンブメーラ Kumbh Melaをご存じだろうか。
「水がめの祭」という意味で、インド国内4か所の聖地を3年おきに巡回していき、参加者数は毎回数千万人を超すという超巨大祭だ。
古くは三蔵法師もその様子を記述に残しているし、ビートルズも訪れたと言われている。
この祭りのハイライトは何と言っても何千人という数のサドゥと呼ばれる聖者が集まるシーン。
写真はどちらもAir India機内誌より拝借
なにこれ、かっこいい!!
インドにいる間に1度は絶対に見たいと思っていたら、なんと今年2019年がまさに開催の年だったのだ。
しかも今回は聖地中の聖地、ガンジス川とヤムナー川と神話上のサラスバティー川が合流するアラハバードでの開催。
開催期間は1月15日~3月4日。(※終了しています)
詳しい情報がないこともあり一度はどうしようか迷ったが、結局諦めきれず、終了間際に慌てて行くことに決めた。
まず、アラハバードまではデリーから空路で行く。
クンブメーラの時期は特別チャーター便も出るが常にほぼ満席。
しかも値段は通常の何倍にも跳ね上がる。
宿はメインの沐浴場がある川の合流地点「サンガム」に近いキャンプサイトに泊まることにした。
開催中はあちこちでお祈りの儀式が行われ、周りにはたくさんのキャンプサイトもあるらしい。
これってまさにフジロック!!夏だ!フェスだ!!と期待が膨らむ。
しかし、事前準備なしに飛び込むのはあまりにも無謀で、後々我々はその甘さを思い知ることになる…
アラハバードの空港に着くと記念撮影用のパネルなどもあり、フェス気分もますます高まる。
空港から1時間程タクシーに乗ると、広大な砂漠地帯に入り、いよいよ会場到着だ。
おお、何となく閑散としてはいるがきっとみんなサンガムに集まっているのだろう。
キャンプ到着後、さっそく荷物を置き、リキシャを使ってサンガムに向かう。
しかし大して乗らないうちにリキシャが入れるのはここまでだと言われ結局徒歩で向かう。
途中遠回りして、サドゥが多く集まるという地区に行ってみた。
なぜか全くサドゥが見当たらない。あるのはテントが取り壊された後のような空虚な景色のみ。
なんかおかしいと薄々気づく。
それでもサンガムに近づくにつれ、人も増え盛り上がっている様子が見えてきた。
いよいよか!?
サドゥらしき人もちらほら。しかし「一緒に写真撮ってやるからお金をよこせ」と言ってくる。これは明らかに偽物と思われるので無視。
ついにサンガムに到着!
がしかし、そこにいたのは荒々しいサドゥではなく、沐浴を楽しむ一般の方々だった…
みんなキャッキャと嬉しそうだし、非常にピースフルな雰囲気は漂っているが、なんか予想していたのと違う…
きっとサドゥーたちは今どこかにいて、日没と共に一斉にここにやってきてド派手なプージャ(お祈りの儀式)をかましてくれるよね!
と期待するも…??
長くなってしまったので、次に続く。
インドで靴を修理に出してみた
私の主人は思い入れのある靴を履き続けている。
キアヌ・リーブスが親友のリヴァー・フェニックスにもらった靴を履き続けていたようなものだ。(かっこつけて書くと)
しかし、本体と甲の縫い目の部分が裂けてきて、さすがにこれは何とかしなくてはと修理に出すことにした。
インド人に教えてもらったローカルマーケットに行ってみる。
食品から雑貨、携帯電話まで色々な店が入っており、確かにここなら靴の修理屋もありそうだと歩き回るがどこにも見当たらない。
その辺の人に聞くとあっちだと言われ、そっちの方向に行くと更にあっちだと言われ、とうとうマーケットの外れまで来てしまった。
そしてそこでもあっちだと言われ、言われた方向を見てみると路上にポツンとテントらしきものが建っている。
こ、これか…
かばん&靴の修理屋らしい。
掘っ立て小屋風の造りに初めは戸惑いを覚えたが、見た目とは裏腹に職人は良い仕事をしてくれた。
靴を見せると10分でできるという。
裂けた縫い目を器用に縫っていく。
そして慣れた手つきで靴を磨く。
たった10分で、干からびた靴が見事に蘇った!
Before→After
しかも料金はたったの80ルピー(125円)。
申し訳なくなるくらいだ。
心ばかりのチップを上乗せして渡した。
彼の店はけっこう繁盛しているようで、靴を直している間にもひっきりなしにお客さんがやってきた。
スーツケースのハンドルが壊れたものから、日本では考えられないようなボロッボロのリュックサックなんかも持ち込まれる。
こんなの直せるの?と思いながら見ていると、おじさんは何が来ても任せとけ!と涼しい顔で答えていた。
外は40度越え。時折風が吹いてもドライヤーのような温風だ。
そんな中、熱波にも負けず、砂ぼこりにも負けず、ただ黙々と仕事をこなす職人の彼に感動した。
この人はきっと先祖代々からこの修理の仕事をしてきたのだろう。(私の妄想ではあるが、インドではカーストで決まった職業に就くことが多い)
そしてこれからもずっと、身体がだめになるまでこの仕事を続けるのだろう。
彼は何も語らないが、手や表情、座り姿が彼の人生を物語っているようだった。
名もないインドの職人、好きだなぁ。
どうしたPAUL 先行きに不安を感じる件
先日久しぶりに朝食を食べにPAULを訪れた。
開店から半年が過ぎ、早くも今後の先行きに不安を感じることがあったのでちょっと書かせていただきたい。
私がオーダーしたのはカプチーノとクロワッサンのセット。
しかし運ばれてきたクロワッサンを見て我が目を疑う。
小っさ!!
カプチーノに付いてくるひと口クッキーと変わらないではないか。
店員に、え?このサイズ??と聞いてみたが、そうですけど何か?といった感じで全く悪びれる様子がないため、セットで頼んだことがないし、もともとこんなものなのかな…?とそのまま引き下がってしまった。
そして食べてみると、今度はクロワッサンではなくバターロールのような味がする。
何かおかしい。
PAULは変わってしまったんだろうか。
お家計を見てとうとう我慢できなくなってきた。
カプチーノ単体だと180ルピー(約300円)。
それなのにこの超ミニミニクロワッサンが付いただけで300ルピー(約500円)に跳ね上がるなんて到底納得できない。
マネージャーらしき人に文句を言うと、では差額の120ルピーは返しますとのことっだったがその時の態度といい、がっかりしてしまった。
まともにクロワッサンを出せないなんてPAULとは呼べないっ(涙)
実は私の周りでもケーキの質も変わってきたとか良くない話がちらほら。
どうしたPAUL?せっかくインドのパンレベルも上がってきたと思ったのにこう簡単に質を変えないでほしい。
好きだからこそ心を鬼にして言うのだ。
なおフォローのために言わせていただくと、クロックマダムは変わらず美味しかったです。また食べたい♡
それにしても日本では当たり前に行われている「店の味を守る」というのは実は大変なことなんだぁと思った。
インドのトイレ博物館に行ってみた
こんなことを言うと変態と思われるかもしれないが、私は便器が好きだ。
というのは、便器は陶器として非常に美しいと思うのだ。
柔らかな曲線美のフォルムに、光沢があり滑らかな表面、そして色むらのない純白もしくは単色のカラー。
どんなに頑張ってもトレイはトイレなのに、一切の妥協なく美しく仕上げられているところに気高さを感じる…
そんな私がトリップアドバイザーを見て気になっていたのが
Sulabh International Museum of Toilets
スラブ国際トイレ博物館
ただ私が好きなのはあくまで陶器としての便器であり、トイレが好きとかトイレの歴史に興味があるとかではない。
ましてやインドのトイレ博物館なんて、世界一汚いトイレと称される伝説のライブハウスCBGBも真っ青な汚トイレが展示されているのではないか…と恐怖を感じつつも、怖いもの見たさで行ってみることにした。
中に入ってみると、広い敷地にトイレの見本がずらりと並んでいる。
ガイドをしてくれた館内スタッフの説明によると、これらはインドで「トイレの聖人」と呼ばれるビンデシュワル・パタク氏が考案した、下水設備がなくても使える簡易バイオトイレの見本だという。
このように1つのトイレに排泄物を溜める穴が2つ。
はじめは片方の穴だけを使い、2,3年で満杯になったら、今度は反対の穴を使う。こちらが満杯になる頃には、反対側の排泄物は乾燥し、ばい菌や臭いもなくなり、安全なたい肥として使用することができるようになるという。
↑乾燥した排泄物。たしかに全く臭くない。
このパタク氏は、1970年にNGO「スラブ・インターナショナル・ソーシャル・サービス」を設立し、自宅にトイレがない貧困層にも地元の材料でできるだけ安く簡単に作れるトイレを普及させてきた。その活動は世界でも認められており、昨年は日経アジア賞も受賞している。
他にも、排泄物から出るバイオガスで電気を起こしたり、巨大なろ過装置も見ることができる。
きれいになった水は植物の水やりや再びトイレに使ったりするのだそう。
トイレの歴史がわかる展示室もある。
「日本のトイレ」としてウォシュレットが展示されていたが、相当古いし他国の製品っぽかったのが少々残念…
しかし全体としては良い意味で期待を裏切ってくれた。無料だしスタッフも親切。
何よりインドの社会問題に果敢に取り組むNGOの活動を知ることができた。
そして館内は清潔なのでご心配なく。
シュガーケーンジュースが美味しすぎる件
デリー近郊もいよいよ夏本番といったところで、連日40度を超えている。
この時期いたる処で目にするのが、シュガーケーンジューススタンド。
サトウキビのジュースのことだ。
長くて立派なサトウキビをローラーに挟んでジュースを絞り出していく。
サトウキビそのままなんて、さぞかし甘ったるいだろうと想像するが、実はスッキリした程よい甘さでとても飲みやすい。フルーツジュースのジャンルに入れてもいいくらいだと思う。
しかもミネラル豊富で太りにくく、汗をかいて失われた水分を補うのにぴったりということで、朝からひっきりなしにお客さんが買いに来ている。
シュガーケーンジューススタンドは、なぜかド派手な看板が多い。
写真では見えずらいかもしれないが、サングラスをかけたキメ顔の男性がちゅるーとストローを吸っている姿や、メイクばっちりの女性が誘うようにジュースを飲んでいる姿、カップルのイチャイチャ姿など、ギャグなのか真剣なのかわからないようなギリギリのラインを攻めてくるところが毎回私のツボだ。
なんとスタンドには電動エンジンやハンドルが付いていて、普通に車道を走る。
しかもエンジンと搾り機が連動していて、車も動くし搾り機も回る!という非常にスマートな屋台なのだ。
さて、ここまで推すからには私はかなり屋台のジュースを愛飲していると思われるかもしれない。
しかし、正直私は飲んだことがない。
だって、このむき出しのサトウキビや搾り機には埃も大気汚染物質も排ガスも付いているだろうし、もちろん搾る前に洗っていない。
仮に洗っていたとしてもその水がきれいとは限らない…
ということで、小心な私はどうも勇気が出ないのである。
そんなヨワヨワの私がお勧めしたいのが、こちら!
インドでコールドプレスジュースと言えば
RAW PRESSERY ロー プレッセリー
安心安全、何より美味しい!!
これで存分にシュガーケーンを楽しめる。
ちなみに、このブランドは10種類以上のコールドプレスジュースを出していて、いずれも砂糖や添加物は一切入っておらず、自然そのものの味わいが楽しめる。
中でも私が一番好きなのはLIFEというストロベリーベースのもの。スムージーのようなドロッとした飲み心地が最高なのだ。
スーパー等で買えるので、インドに来た際はぜひ飲んでみて欲しい。
でもやっぱりいつかは強くなって屋台も試してみたい…と思っている。
料理だけじゃない!The Bangala バンガラ周辺街歩き
前回の続き。
とにかくThe Bangalaで美味しいインド料理が食べたいという一点だけでやってきたカーライックディーという町。
それ以外のことは特に調べていなかったので、ホテルが提案する半日観光ツアーを利用することにした。
まずは、The Bangalaの大女将(?)が今も住んでいるというM.S.M.M Houseへ。
貿易で財を成し、この町に電気や水を引いたり、女学校を設立したという名家だ。
イタリアの大理石にミャンマーの木材、日本のタイル等世界から集めた美しいものが、主張し合うことなく見事に調和して、上品で重厚な空間を作り上げていた。大理石のひんやりとした床や、背筋がしゃんとするようなきりっとした雰囲気に暑さも忘れてしまう。
続いていくつかのお宅を見学したが、いずれもヒンズーとヨーロッパとアジアが上手くミックスされているし、更にはその家の主人の好みも反映されており、一軒ごとに似て非なる造りが面白かった。
これらの美しい家はインド映画のロケに使われることも多いという。
ただ、古い豪邸を維持するのはかなり大変なようで、多くの家が管理されずに放置されている。
今回のガイドさんの実家もこの一角にあったが、現在は高齢の伯母様が1人で住んでいるのみで、他の家族は新しい家や、別の街に引っ越してしまったそう。結局新しい家の方がメンテナンスも容易で住みやすいとのこと。
そんなガイドさんが自宅でお茶をご馳走してくれた。
「単身赴任中で、男一人暮らしのむさくるしいところだけど…」と言っていたが、私たち旅行者には、こういう普通の暮らしに触れられるのが一番嬉しい。
コーヒーを入れる男。たまたま構図がフェルメール風?
その他、タイル工場や、女性たちが働くお菓子工場、何気ないお寺なども良い味を出していた。
約3時間のツアーを終え、ホテルに戻り一休み。
あの美味しすぎる昼食をはさんで、夕方からは自分たちで近所を歩いて回ることにした。
町の中心部まではThe Bangalaから歩いて10分程度。
思った以上に活気がある。
その中の一角にある、アンティークショップストリートが特に面白い。
お屋敷からでてきたお宝がザクザク。
貿易が盛んだった頃の名残で、国内はもちろん外国の食器から家具、オブジェ、建具に至るまで色々なものがある。好きな人なら何時間でもいられそう。
それにしても、この町の人々の屈託のない笑顔には本当に癒された。
北インドではお目にかかれない抜けるような真っ青な空と相まって、すっかりこの町の虜になってしまった。
が、歩き回って最後に犬のフンを踏んでいたことに気づく…。
きれいに旅を終わらせてくれないところがやっぱりインドだった。
チェティナード料理に舌鼓 @バンガラ The Bangala
インド人はもちろん、世界のグルメたちが注目するインド料理がある。
それが南インド・タミルナード州にあるチェティナード地方の料理。
私にとってのカレーの王子様 東京カリー番長 水野仁輔さんも「カレー界の新ヒーロー」として紹介している。
チェティナード料理は、何か特定のカレーを指して言うのではなく、その地方に伝わる料理全般を指す。
新鮮な野菜や果物はもちろん、チキンやマトン(といってもヤギ)、インドでは珍しい蟹、さらには他国のスパイスも用い、大変豊かな食文化であることがわかる。
中でもチェティナード料理の人気を牽引しているのがこちらのホテル。
The Bangala バンガラ
マドゥライから車で2時間程のカーライックディという小さな町にある。
田舎町といった印象を受けるが、ここはかつてスリランカや東南アジアをまたにかけ、銀行業や貿易などで巨大な富を築いたチェッティヤールという商人カーストの本拠地で、第2次世界大戦頃までは非常に栄えていた。
このバンガラも、その一族の邸宅の一つを改装して作られたホテルだ。
チェティナード料理はインド人にも有名で、食べに行くと言うと「辛いから気を付けて!」と皆に言われた。確かにマドゥライの空港で食べたサンドイッチはヒーヒーする程辛かった。
しかし、バンガラの食事は驚くほどマイルド。
貿易相手国であったアジアの影響も受けているようで、日本人の舌にもよくなじむ。
朝昼晩、計5回ここで食べたが、メニューは毎回異なるし、味付けもバリエーションに富んでいて全く飽きさせない。
↑ランチのミールス。バナナの葉っぱがお皿代わり。
スパイスを控えめにして、素材の味をものすごく上手く引き出している。
一つ一つ異なる味付けでありながら、全体は不思議と統一感があり、一口食べるごとに感動が止まらない。そしてお代わりも止まらない。
うーん、美味しすぎる… 何度目をつむったことだろう。
つい先日まで弱り果てて病院に行くほどだった私の胃腸も、なんとここの料理を食べている間に完治した。
元はこの家の住人が毎日食べる料理だから、身体にも気遣って調理されているに違いない。
そう、ここの料理は母の愛と言うか、料理人の愛が感じられるのだ。
そしてこのホテル、 館内は管理が行き届いておりとてもきれい。
中でもキッチンはインドとは思えない程、清潔で美しく整頓されていたのが印象的だった。
スタッフも感じが良く、皆よく働いている。
この家の末裔であるオーナー女性の辣腕ぶりがうかがえる。
コンデナストトラベラーのレストランランキング2018では、インドの28位にランクインしていたが、私にとっては今まで食べたインド料理の中で断トツ1位。
これほど美味しいインド料理を食べたことはない。なかなか行きづらい場所であるは、絶対にまた訪れたいと思っている。
またこのホテルでは料理教室が開かれており、そちらは観光バスで人が押し寄せる程人気なのだとか。次回はトライしてみたい。
さて、行ってみるとこの街の魅力は料理だけではなかった。
次の記事では周辺の観光もご紹介したい。